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プロジェクトマネジメントに正解はない

Schooというオンライン授業で、「Web制作のためのプロジェクトマネジメント」というテーマで話をすることになった。

プロジェクトマネジメント実務経験9年、PMPというプロジェクトマネジメント資格をとって3年。知識も実力も道半ばだが、これからプロジェクトマネジメントを頑張っていきたい人に、2時間の枠で何を伝えようか。ひとしきり悩んだ。

そもそも「Webディレクター」はやることが多い。Webの専門家としてクライアントの期待に応えるのが基本的な仕事だが、プロジェクトマネジメント業務だけでなく、提案書、仕様書、ワイヤーフレーム、デザイン指示、バグフィックスなども自分でこなしつつ、制作チームと連携をとりながら進めていく必要がある。

そんな中、プロジェクトの課題は必ず発生する。クライアントの要望が変わる、チームメンバーが他案件で多忙で予定通りに進まない、コストがかさむ、デザイン品質が低い、などなど。

数多くの現場の悩みに対して、何を伝えられるのか…と悩んだ。例えばPMBOK(世界標準のプロジェクトマネジメント知識体系)の定義を話しても、その後PMBOKを自分で勉強しない限りほぼ意味がないし、PMBOKで紹介されているちょっと高度なツールや手法を紹介しても、必ずしも現場で使えるわけではない。

そもそも、Web制作業界には「ツール」も「手法」もあふれているし、Webディレクターは当然それらを勉強している。プロトタイピング、ユーザーテスト、マーケットリサーチ、ペルソナ、カスタマージャーニーマップ、IA…。キーワードを出せばきりがない。プロジェクトマネジメントに必要なスキルセットも幅広い。制作管理の能力はもちろん、ファシリテーション、プレゼンテーション、交渉力、コミュニケーション能力など…こちらも広すぎて終わりはない。

そこで、2時間のうちの前半1時間は「手法」を極力伝えないことにした。手法ではなく「その手法をなぜ選ぶのか?」という根本的な部分を問い直したいと思った。これは新人の頃に自分自身が誤解していたことだったが、最新かつ人気の手法でも、オーソドックスな手法でも、使い方を間違えれば意味がないから。

プロジェクトにはそもそも、プロジェクトの「存在理由」がある。Webリニューアルをするにも、それは単にデザインが古くなったからということではなく、必ず企業の戦略と課題が存在している。その根本的な背景をプロジェクト計画の段階で把握していなければ、成果は出ない。プロジェクトマネジャーが最初にすべき仕事は「プロジェクトの背景とゴールを適切に把握すること」だ。まずはそこを伝えたいと思い、以下の話をした。

授業自体はSchooで有料会員になれば視聴可能。

 

プロジェクトの背景とゴールを把握した上で一つひとつもれなく計画していくことは、プロジェクトマネジメントの第一歩。とはいえ、計画が十分でもプロジェクトが必ずしもうまくいくわけではないのも事実。

そこで授業の後半は、ロフトワークで実際に実践している手法を紹介することにした。チームメンバーが適切に協力し合いプロジェクトを進めることはプロジェクトマネジメントの世界でも実際に重視されてきているが、Webプロジェクトでも同じ。皆が同じ方向を向いていくことは非常に大事だと思っている。

こちらもおなじくSchooで有料会員になれば視聴可能。

 

ということで、「守り」と「攻め」という両軸で話をまとめてみた。

2つの授業で伝えたかったのは、プロジェクトマネジメントに押さえどころはあっても、「正解」はないということ。プロジェクトマネジメントはクリエイティブディレクションと比較するとつまらない管理業務というイメージがあるけれど、全然違う。進め方次第で結果は大きく変わっていく。

私たちは宇宙開発や建設業のような安全性を担保し確実な進行が期待されるプロジェクトでなく、クリエイティブなものづくりの仕事をしている。だからこそ、プロジェクトマネジメントも「守りでなく攻めの姿勢」でデザインし、そして上手にハンドリングしていけるのが、最高に素敵なのではないだろうか。

 

#この授業を作るにあたり休日にも関わらずお力添えいただきました野村さん、河上さん、小川さん。本当にありがとうございました。

Karin Inoue Karin Inoue

クリエイティブディレクター。Webを中心としたコミュニケーション戦略立案、CMSサイト構築、コンテンツ企画、イベント運営まで、ジャンルを問わず、幅広いクリエイティブ制作を担当。PMI認定PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)>>プロフィール詳細

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