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グラフィックデザインと暮らす

こんにちは、プロデューサーの濱田です。

突然ですが、みなさんは部屋の壁には何を飾ってますか?
自分やパートナー、子供の写真?フォトグラファーが撮った写真?アート作品?

今日は僕が自宅に飾っている、日本のグラフィックデザインのポスターの話をします。

なぜグラフィックデザインのポスターを飾るのか

グラフィックデザインのポスターを飾る理由は「優れたデザイナーの作品を毎日見れる」。これに尽きます。
ずーっとポスターを飾って生活してみて、図録や美術館で見るのと自宅で毎日見るのとで、作品への理解の深さが全然違ってくるような気がしています。
この色は、この文字組は…と、作品と対話しながら過ごすことで、学ぶこともあるんですね。

そしてWEB業界は(特にロフトワークは)、多彩な若いメンバーがいる一方で、意外と日本のグラフィックデザインの巨匠を知らなかったりする。
そういう意味でも、手元にこういった作品を置いてみることはおすすめです。

特に男性諸君は、部屋に知的な雰囲気を漂わせることで、女の子が来た時に「あら、◯◯君て意外とクリエイティブなのね♡」…なーんてことも期待されます。

・・されませんね。

では、濱田家のポスターたちを紹介しましょう。

田中一光「MODERN ART OF JAPAN」1966

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1966年にイタリアのミラノとベネチアで開かれた、日本の現代美術展のポスターです。
6年前にヤフオクで買って、それ以来リビングに居座り続けています。
筆でサッと書いたっぽい形ですが、よく見ると一方は滲んでいて、もう一方は非常にシャープな線になっています。
日本の伝統と近代的な感覚を一体化させた形としてデザインしたのでしょうか。
色は全体にモノトーンですが、タイポ部分は緑、橙、紫と田中一光先生らしい配色です。

余談ですが、同じ図案で全く違う用途の「障壁画全集」というものもありまして…。
これは時間がなかったのか、どっちもこれがベストだと思ったのか、興味深いところです。

永井一正「I BELIEVE 日本の現代美術」2009

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偶然にも上のポスターと同じテーマですが、2009年に富山県立近代美術館で開かれた展覧会のポスターです。
3年前に古書店で買いました。確か1万円くらいだったかな。
永井一正先生の「LIFE」シリーズの系譜のデザイン。しかしエッチングじゃなくてクッキリしたシルエットなのが、逆に好みです。
紙のサイズいっぱいまで描かれた象は、ちょっとDANESEの黒豹のようでもあり。なぜか手足だけカクカクした直線になってるのが、長年の謎です。
中央の文字組は、ジャズレコードの「Somethin’ Else」を彷彿とさせる箱型にキッチリと組んであります。
目と人名に使われている特色も楽しいです。

田中一光「Bauhaus Archiv」2000

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10年ぐらい前に3000円でネット通販で買ったもの。バウハウス系のポスターは昔から10種類くらいのものが売られていますが、以前は田中一光先生の作品もラインナップされていました。ある時から見かけなくなったので、廃盤になってしまったようです。
デザインとしては、人間を三角と四角で表現したものですね。
スカートっぽいのは、バウハウスの昔の舞台衣装かな?
ちょっとドット絵っぽくもあるミニマルな感じが良いです。

番外編 亀倉雄策「東京オリンピック公式ポスター第1号」1961

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去年、五輪エンブレム問題がいろいろと話題になった時にもよく引き合いに出されましたね。デザインに関しては言わずもがなの、不朽の名作です。
これは7年ぐらい前にヤフオクで購入。3万円くらいだったかな…。
◯版印刷を定年退職した方の、倉庫から発掘されたんだとか。
サイズが特殊なので、フレームを作ろう、作ろう、と思ってまだ注文してないのですが、2020年までにはどっかに飾りたいです。
紙の端ギリギリまで要素があるから、フレーム作る時は気をつけないとですね。

インテリアに向いたグラフィックデザインのポスターとは?

そんな感じで、我が家のポスターたちを紹介しました。どうでしょう。イメージ湧きましたか?
好みの問題もあると思いますが、ポスター選びのポイントとして、シンプルなデザインの方が空間に馴染みやすいですね。
例えば下のポスターは永井一正先生の作品ですが、これを手に入れたので飾ろうとしたら「落ち着かない」と奥さんに拒否られました。。

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あと写真を使ったデザイン(東京オリンピックの水泳のやつ)も拒否られた(恨)。
家に決済者がいるなら、買う前に承認を得た方がいいでしょう。

タイポグラフィに関しては、アルファベットを使ったものの方がインテリア的には良さそうです。
日本語だと、どうしても読めてしまうので、意識しやすくなってしまう気がします。
例えばこれこれだったら、後者の方がおしゃれに見えたりしますよね。

最後に、サイズが同じなら季節や気分によってポスターを入れ替えるのも簡単です。
特にB1(728×1030)サイズは多くの種類が作られていて、フレームが1個あればいろいろなポスターを楽しめます。
まずはB1サイズから試せば、もっと好きな作品が手に入った時に、差し替えたりしやすいです。
(実は我が家の象のポスターの下にも、別の作品が入ってます)

最後に

永井一正先生の著書より引用します。

ポスターの場合ポスターと個人との対話ができる。即ち、パーソナル・コミュニケーションに似た関係において捉え得る。このことを、作る側も企業側ももっと意識する必要がある。単に物事を伝えるだけではなく、もっと深いコミュニケーションをポスターを通じて考えていくべきではなかろうか。(「永井一正のポスター」1976年 より)

40年前のパーソナル・コミュニケーションは、ポスターというメディアにおいて語られることもあったんですね。

インターネットやSNSといったものがコミュニケーションの主役になっている昨今ですが、優れたデザイナーによるポスターは、何十年間でも見る者とコミュニケーションすることができる。ポスターと暮らしていると、そんな風に思います。

そんなわけで、興味が湧いたらぜひ1枚飾ってみて下さいね!

濱田 真一 濱田 真一

青山学院大学卒業後、雑誌編集を経てデザイナーとしてWeb業界へ。企画提案、サイト設計、コーディング、CMS構築と幅広い業務に携わる。その後ディレクターに転向、ロフトワークに入社。シニアディレクターとして、メディアサイトの企画運営から、大学サイト構築など様々なプロジェクトに参画。2015年秋より、編集力・デザイン力を兼ね備えたプロデューサーとして活躍中。>>プロフィール詳細