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3年限定の新しい公共空間「下北沢ケージ」で感じた、“懐かしい未来”

京王井の頭線下北沢駅の南口を降り、本多劇場前の高架下に向かうこと徒歩3分。
植物園? バスケコート? 一瞬、なんだろう?と思わせる大きな金網に囲われたまるでケージのようなスクエアな空間「下北沢ケージ」に到着です!

8月19日にオープンした、“懐かしい未来”感が漂うピースフルな雰囲気のこの空間を、個人的見解をたっぷり混ぜ込んでご紹介します。

“舞台装置”でもある空間

下北沢ケージは、東京R不動産などで知られるスピークと、クリエイティブカンパニー東京ピストルが手がける、3年間限定で運営される高架下につくられたアジア屋台酒場「鳥籠酒場“ロンヴァクアン”」を併設したスペース。面積は約200平米、日中は一般に開かれ、夜はイベントや様々なアクティビティが行われるそう(レンタルに関してはこちらからどうぞ)。地域の行政や商店会の方、そしてもちろん地元の方も利用できる、公共スペース活用の新たなプロジェクトとして要注目なスペースです。

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右手にいるのは、下北沢非公式ゆるキャラ「しもっきー

 

一般公開の前夜にレセプションパーティに参加してきたのですが、スピーク代表・林厚見さんと東京ピストル代表・草彅洋平さんのトークセッションではこんな表現が聞こえてきました。

「下北沢ケージは、街から見たり、見られたりする“舞台装置”でもある」(筆者要約)

確かに、更地のような街との境目が分かりにくい場ではないし、ハコモノと言われるような佇まいの建造物というのもちょっと違う。金網のフェンスが街と空間の境目を曖昧にしていて、不思議な感覚になる場所。こちらがフェンスの外を見ているようで、外から見られてもいる、ちょっと不思議なコミュニケーションが生まれそうな印象でした。

(Takamex / Shutterstock.com)

 

下北沢は、音楽や演劇、ファッション、落語……様々な文化が息づくユニークな街。大小様々な劇場やレコードショップが軒を連ね、居酒屋ではアーティストや俳優さんに会うことも珍しくありません。ロフトワークがオフィスを構える渋谷とはまた違う、程よくミニマルなカルチャータウン。そんな下北沢に新たな表現拠点をつくり、街のこれからのスペースのあり方を問う実験的なプロジェクトーーそんなわくわくする場所がオープンしました。

 

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レセプションパーティでは、ワイヤレスヘッドホンで会場がひとつの音楽を共有しながら楽しむ「サイレント・ディスコ」も開催。目の前でプレイされる音楽の重低音がヘッドホン越しにズンズン響いてきて面白かったです。ヘッドホンを外せば極小音なので、屋外のスペースに最適! ちなみに中央にいるのは、クリエイティブカンパニー・CINRA広報の星さんと、CINRA.STOREディレクターの康さん。両端は中国からのゲストではなく、ロフトワーカーの寺井と上村です。

 

小さい力で、大きな変化を

個人的に感じたここ下北沢ケージのユニークポイントは、「3年間限定」であること。
というのも、都市デザインやまちが関わるプロジェクトは、時間もお金もとてもかかるのが大前提だから。3年間でできること、という制約がかかっているからこその取り組みに、なんだか興味がわいたのです。

終わりなき企画になることなく、ゴールが見えているからこその取り組み。とりあえずやっちゃおう!という腹を括った企画ができてしまうんじゃないか……なんて思ったり。ライブ、屋外シアター、マーケット、ランウェイ(!?)(格闘技の)リング(!?)などなど、Webサイトにはいろんな活用パターンのサンプルが掲載されています。私だったら何やろうかな……なんて考えちゃったり。
ポジティブなハプニングが起こる企画、そのうち持っていくかもしれません!

 

下北沢ケージが該当するかは未知ですが……実はいま、「タクティカル・アーバニズム(Taktical Urbanism)」と呼ばれる、短期間のアクションを公共空間で実験的に繰り返し、街に長期的な変化を起こそうとする動きが世界でも起きているようです。

 

アメリカ・NYのUnion Squareも、かつては麻薬の売買や犯罪が多く人が立ち寄らないようなエリアでしたが、少人数の農家たちが小さなマーケットを開き、少しずつそのエリアを広げていきました。人が来やすい、安心して過ごしやすい環境に整えた結果、いまではNYで1番大きなFarmer’s Marketに。

 

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マーケット以外にも、ストリートパフォーマンスが端々で行われ、老若男女(と、かわいい犬たち)が日常の一部として楽しんでいます。

 

「ソトノバ」という公共空間特化型のWebマガジンに世界各地の事例が画像豊富に紹介されているので、気になる方は続きはこちらからどうぞ。

▶︎タクティカル・アーバニズムとは何か?
ーバンクーバーのストリートが影響された「タクティカル・アーバニズム」の10の方法

 

 

まずは水曜夜、下北沢へ。

下北沢ケージでは、毎週水曜夜「下北沢ナイトマーケット」が開催されています。レコード・古着・古本・雑貨などなど、アンティークなお店が並ぶこのナイトマーケット。聞いたことのある店名も耳にしつつ、なんと「家すぐそこなんです。母の古着がたくさんあって……」という、あたたかく地元味たっぷりな出店者さんも。

 

下北沢ケージは、ナイトマーケットを定期的に(毎週水曜夜)、そしてライブや演劇などさまざまなイベントが今後開催されるそうです。
遊びにいくもよし、新しい公共空間としてプチフィールドワークするもよし。
友人と食事を愉しみ、心地良い音楽にからだを揺らし、自然の風を感じながら巡るオープンな空間。
みんな笑顔でゆったりしていて、どこか懐かしくもこれから新しいことが起きそうな雰囲気で、“懐かしい未来”感がとても素敵でした。今年から3年限定ですよ!気になる方は、ぜひどうぞ。

 

Satomi Haraguchi Satomi Haraguchi

英治出版で出版プロデューサーとして書籍企画、編集、DTPデザイン、プロモーション等を担当したのち、新興国を主としたプロジェクト型教育プログラムを行うNPOの職員を経て、2015年よりロフトワーク広報。社内外のコミュニケーションを中心に、地域や公共空間のクリエイティブプロジェクトのPR等を担当する。関心領域は、社会課題とクリエイティブの可能性、身体表現と社会とのかかわり。趣味はタップダンス。>>プロフィール詳細