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“オープンイノベーション” と言うは易く

こんにちは。ロフトワーク京都のモリウチです。

先日大阪イノベーションハブにて、リクルートホールディングス社の主催するMöweサロン大阪Vol01 – ポストオープンイノベーションの実態 – というイベントの中で昨年12月にオープンして9ヶ月が経った MTRKL KYOTO(マテリアル京都)についてお話させていただく機会がありました。

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▲MTRL KYOTO 9ヶ月間の実績

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▲MTRL KYOTO は多種多様なクリエイターが集まるクリエイティブラウンジ

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▲看板レギュラーイベント Fab Meetup Kyoto

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ズルい街京都のキャラクターとロフトワークのコンセプト、そして空間の力を掛けあわせてユニークなサービスにチャレンジ

さてここからは私も客席から聴講した後半のパネルセッションから考えたことを書きます。セッションでいきなりパネラーたちから飛び出したのが「“オープンイノベーション”という言葉を使うのは好きではない」というひとこと。

確かに。

自らを”オープンコラボレーションクリエイティブエージェンシー” と名乗っているロフトワークではありますが “オープンイノベーション”と、言うは易く行うは難し。そのコラボレーション活動の結果が”オープンイノベーション”に値するか否かは、自ら言うのではなく客観的な評価に委ねたいところです。

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▲従来のプロダクション型から進化して、オープンなコラボレーションの中から結果を導き出すプロジェクトマネージメントが、今のロフトワークのコア・バリュー。

はてさて、意外にも登壇者に人気がなかった”オープンイノベーション”。

続いて司会者からは「では”オープンイノベーション”を別の言葉で言い換えると・表現すると何ですか?」なかなか大きくて難しい問いが出されました。

これに対してパネラーたちからは「シンプルに“交換”です」「ある種の“ゆるさ”が存在することです」など、”なるほど” と思えるようなキーワードが出されました。

一方で、客席で聞いていた私が連想したのは、

「不確実を受けれてオルタナティブな価値を生み出すこと」

旧来の組織の壁を超えた協働から生まれたコラボレーションも、何度も同じメンツで繰り返して、打率や効率と引き換えに結果がマンネリ化していけばそれはすぐに “いつものやり方”になります。

そして、チームが固定されず流動的であるからには、コントロールできないことが起こったり予測できない結果になることも受け入れる必要があります。プロジェクトチーム(とその決済者?)は、不確実性を楽しみ予測外の結果を期待するポジティブさとチャレンジ精神を備えておくべきでしょう。

そして “オープンイノベーション(という言葉が指すところとその成果)”は常に、新しい別の発見や価値観をもたらすものであってほしいと思っています。

当イベント、メーヴェが見据えるのは「ポストオープンイノベーション」。オープンイノベーションの更にその先の「社会課題を解決するシステム変革」だそうです。

リチャード・バックにより生み出された寓話的作品の登場人物である、「かもめのジョナサン」は、カモメながら飛ぶという行為自体に価値を見出し、群れ社会にそれを伝えようとしました。

株式会社リクルートホールディングスが新設をするメディア「Möwe」(ドイツ語でカモメの意)はジョナサンのように、既存システムに新しい価値を提供することで、「社会の課題」を解決しようとする、そのようなシステム変革の現場を追うメディアとして運営して参ります。
技術の進歩とともにイノベーションの速度は加速度的に増し、様々な角度から私達の生活に変化をもたらしております。 しかし、多層化する社会はこれらの変化を十分に吸収できず、旧来のシステムは機能不全に直面をしております。

Möweは既存のシステムからはみ出しながら変革に挑み、「未来」に向けて進む活動全般を、発見、整理、共有することで、人と人をつなぎ、新しい社会の実現をサポートして参りたいと思います。

Möweサロン大阪Vol01 – connpassより

プレゼンテーション中で私は、”ポスト”オープンイノベーションとは、横の幅が広がり流動性が増すと考えていること、そしてその大きな要因が「ローカル・地域性」だとお話しましたが、これは ズルい街・京都で働くMTRL KYOTO運営者のポジショントークでもあります(笑)。

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▲みんなでともに考え、つくり、答えを模索する課程を大事にした YOSANO OPEN TEXTILE PROJECT

最後に、このブログを書きながら気づいたことがもうひとつありました。

私は、ずっとインターネット業界のサービスを作り出す側の仕事をしてきたので、これまでのキャリアの中で、社会や業界のシステムの「機能不全」や「閉塞感」というものを幸いにも(?)あまり感じたことがなかったのです。

インターネットサービス開発においては当たり前のように、他社のAPIやOSSを使い、また自分たちの持つ機能はウェブのエコシステムのために開放する、わからないことがあればWeb上のコミュニティーから答えを探す、ということをやってきました。

また、オープンイノベーションとは真逆で、周囲の声をシャットアウトした少数精鋭のチームで大きな意志を持って盲目的に一点突破したネットサービスが大きな価値や変革を生み出すのも見てきました。

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▲4月にMTRL KYOTO で20代限定で開講した 「春のDOKIDOKI祭り」は、京都からグローバルに挑む未来のチームのためのスタートアップ寺子屋
だから私は、オープンイノベーション(に繋がるオープンコラボレーションや共創の取り組み)とは、万能な銀の弾丸ではなく、イノベーションを生み出すことを目指すチームのための数ある方法論のひとつだと考えています。

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▲京都の老舗大手メーカーとスタートアップが「はかる」で競演した Fab Meetup Kyoto 特別編 「はかる」セッション
そんな自分ですが、ロフトワークのスタッフとしては、FabCafe やMTRL というスペースとコミュニティを舞台に、オープンであるということを良しとする精神で、さまざまなクリエイターと共にプロジェクトを動かして、新たな価値を目指すこと、すなわちオープンコラボレーションをこれからも追求していきたいと思います。

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ロフトワークでは、リスクを減らしながらも不確実性を楽しむことのできるディレクターとプロデューサーを募集しています。
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