ロフトワークの今を伝えるブログメディア

イベント報告!!「宇宙倶楽部」プレゼンツ ! 最先端の宇宙論から考える”クリエイティブ”

6月17日未明。宇宙倶楽部のイベントが実施された。
その様子をダイジェストでお届けする。

始動!宇宙倶楽部

宇宙倶楽部(ロフトワーク)の佐々木星児の挨拶で、イベントの火蓋が切って落とされる。
「宇宙について考えることは、カオスについて考えること。」
市場やライフスタイルは多様化し、非常に複雑になっており、従来のようなマーケティングでは、なかなか対応が難しくなっているのが現状。さらに、人工知能やVRなど、テクノロジーが急速に進化している、このカオスの時代にどのように向き合えば良いのか?日常的にカオスと向き合っているであろう科学者と芸術家の思考や態度を参考にしたい、とのことだ。

 

衝撃!マルチバース宇宙論

カリフォルニア大学バークレー校教授、バークレー理論物理学センター長で東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)主任研究員でもある野村泰紀さんによるプレゼンテーション。
マルチバース宇宙論という、これまでの常識を転換せざるをえないような衝撃的な理論を紹介いただいた。

「『マルチバース宇宙論』は今まで国際会議などでも相手にされてこなかった理論なのですが、ここ10年で大きくリアクションが変わってきました。」

…という前置きからはじまったプレゼンテーション。
文字数の関係で、ここで詳細を述べることは控えるが、その内容は、SFやファンタジーとも見紛うような、刺激的な内容であった。

語られた内容のキーワードを一部ご紹介すると…

  • 我々の宇宙はより大きな構造の内の1つの「泡」にすぎない
  • 宇宙は無限に起こる可能性がある
  • マルチバースは全て確率なので、パラレルワールドになる
  • 見えたものをそのまま信じる危うさ、誰にとってソレがあるのか
  • 空間とはホログラフィックスペースと呼ばれる、仮想空間における量子もつれの現れ

もし、マルチバース宇宙論をもっと知りたい!という人は、野村先生の新著をチェックしよう。

「マルチバース宇宙論入門—私たちはなぜ〈この宇宙〉にいるのか」

「日経サイエンス 20179月号 特集:マルチバースと多世界」

白熱!?三つ巴セッション

続くトークセッションでは、過去にKavli IPMUを訪れて滞在制作を行った2名のアーティストの平川紀道さん、野村康生さんも加わり、ロフトワークの仕事であるデザイン領域で感じている問題を提起し、3人の方に答えてもらう形で、科学とアートの共通点、差異を探っていった。

 

Kavli IPMUの坪井あやさん(http://www.ipmu.jp)と宇宙倶楽部(ロフトワーク)の藤野清太郎により、カオスへの向き合い方、明確なターゲットが無い中でのターゲットの考え方、仕事の戦略、モチベーションについてなど、様々な質問が投げかけられた。

 

美術史や科学理論に材を取った作品を多数発表し、高次元をテーマにした個展も開催した野村康生さん(http://yasuonomura.com/)。作品のターゲットについての考えをお話いただいた。

「個人のスタンスとしてどう考えているかをお伝えさせていただくと、ターゲットは例えば1000年後の人類にどう感じてもらえるか。サイエンスとアートが共通している大きなポイントはターゲットの射程を長く取ることができ、そこに対して何ができるか考えることができる数少ないジャンルがアートなのではないかと思っています。」

 

 

コンピュータ・プログラミングによる映像音響のインスタレーションを中心とした作品制作をしている、アーティスト平川紀道さん(http://counteraktiv.com/)。制作活動に対する自身の考えを語る。

「人間が何かを手で作ろうとした時に本当に0から作れるのかという疑問がある。もっというとステップなしで完成に近づけるのか。1つの絵を完成させるにしても、いくら即興でやっていると言っても最初に置いた点に対して自分で判断し次のステップが生まれる。それは人間の頭の中で想像された完成に向かっていることになると思います。
私がコンピューターを使っているのは、人間が想像できないものを0から作れないかと思っているからです。マウスで絵を描くのではなくてプログラムを0から書くことで、計算の方法自体は自分で考えるけれども適用した時にどういうアウトプットになるのかは全く想像できない。そういったことからまず試してみています。」

 

仕事においての「戦略」について語る野村先生。

「アメリカに行ってとにかく言われたのは、つまらんことをするなということです。答えがわかっていて論文になることが確実な仕事は面白くないんですよね。リスクを取らないことが最もリスクだとよく言うと思うんですけど、リスクがないということは大したことができないということですよね。」

 

 

投げかけられた問から、三者三様の意見が飛び交う。
取り組んでいる領域が異なるため、戦略や考え方には違いがあるが、根本的なマインドやモチベーションには共通点があるように感じた。

誰も見たことがないものをつくる。
真実を追求する。
純粋な好奇心。

未知のもの、どこから手を付けていいかわからないカオスなものへ取り組むには、
純粋に知りたいという思い、手探りでも行動していくという情熱、自分の興味軸や感覚を大事にする。そんなシンプルな事しかないのかもしれない。

最新の宇宙論から、それぞれの活動の戦略や、思想まで縦横無尽な議論が繰り広げられた濃密な時間であった。

宇宙倶楽部の第1幕の報告はここで終わる。
また、機会があれば開催する…かもしれない。

 

藤野 清太郎 藤野 清太郎

プランニング工程が好きな妄想系ディレクター。
宇宙倶楽部所属。宇宙倶楽部は、宇宙が好きな社員達が結成した、宇宙好きの宇宙好きによる宇宙好きのための社内プロジェクトです。