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ディレクターとギャル、相対する

こんにちは、ロフトワークのマツモトです。

最近、地域を舞台にした案件が増えているロフトワーク、他県に訪問することがある一方、自分たちが働く渋谷も、リサーチする機会がでてきました。

渋谷は音楽、ファッション、アートなど、文化の登竜門のような都市です。その数ある渋谷カルチャーの中から、今回マツモトはギャル文化をチョイス。渋谷のディープなギャルカルチャーが味わえると噂のGALCAFE 10SiON(ギャルカフェテンション)に飛び込んできたときの一部始終をお伝えします。

渋谷道玄坂上で働きながらも、ディレクターという職業柄、まったくと言っていいほどセンター街へ足を踏み入れる機会がありません。異文化交流とも言える、ディレクターとギャルの交流はうまくいったのでしょうか。

 

温かみある、空間ディレクション

渋谷はセンター街、ビルのワンフロアに店を構えるGALCAFE 10SiON。入り口のドアをあけるとさっそくギャルのお二人に「入って入って〜」と招き入れられます。中に入ると目にするのが、バーカウンターが左右2箇所とハイチェアが合わせて8〜9席分ほど。少しクローズドな程よい広さ、照明も明るすぎず暗すぎずのいい塩梅の調光です。

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フォトプロップスはすべて手作り、なごみます

これはマツモトが前職でオフィス空間の提案をしていた時のプチ知見ですが、昼光色(白や青)に比べ、電球色(オレンジ)の色は心理的にリラックス効果があり温かい印象を人に与えます。人の気持ちを落ち着かせたり、入眠を促したり、食事をおいしく見せたいときによく用いられる色温度ですね。

内装の雰囲気もですが、もひとつ注目すべきは店内で目に入ってくる文字情報。フォトプロップス(フォトブースによく置いてある手に持つアレ)やメニューボードに書かれている文字が全部手書きです。ギャルカフェのコンセプトでもある「サービスもメニューもぜ〜んぶ渋谷ギャルが考案」の通り、考案されたメニュやサービスもすべて手書き。調べてみると手書きは、フォント文字に比べて記憶に残ると言われているのだそう。 その理由は、手書きの文字の持つ独特の読みにくさが関係しているらしく、文字が読みにくいことで脳が積極的に理解しようと働くために強く印象づけられるのだとか。

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ぶっとんだネーミングがひしめくメニューボード

ギャルのみなさんが計算してディレクションしたのかはわかりませんが、お客さんが心地よい時間を過ごせる工夫が店内には施されていました。

Death Time 救済コメント「とりはだ〜」

誰しも場を盛り上げようと小粋なトークにチャレンジする機会はあるはず。そうはいっても、いつも百発百中ホームランが打てる人はそういません。マツモトもいつも果敢にチャレンジしますがよくハズします。ギャグや小粋なコメントを外した時のあのなんとも言えない誰も救済方法がわからない沈黙の時間をマツモトは勝手に Death Time とよんでいるのですが、この日のギャルカフェでもそれは起きました。しかしこの日は普段と違い、救済の手が。そう、ギャルのお二人。「とりはだ〜」の一言でみんなが爆笑、笑顔です。あなどれないギャル語。

ふと入店時から振り返ってみると、なんだか今日は話しやすいな、いっぱい話しちゃうなと感じていました。そう感じる要因はなんなのかと小難しく考察していたのですが、答えはシンプルでした。それはこの店の利用ルールとして「ギャルもお客さんも敬語禁止」が設定されていたこと。

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タメ口とお酒とギャルのよいしょにより、無敵スター状態になるマツモト

コミュニケーションを開始する前から、前提ルールとして敬語禁止を設定する効果は大きい。なぜなら、まず敬語がタメ口に取って代わるだけで心理的な壁が取り払われるからです。そうすると仲間意識が高まり親近感が沸くようになるため、(擬似的だとしても)フラットな人間関係を形成することができます。

またしてやられました。ギャルカフェの敬語禁止ルールとお酒も相まって、気づけばおしゃべりクソ野郎になっていたのです。良く言えば、なんでも話しやすい状況がつくられていたということですね。おそるべしギャルカフェ。

必殺!ゼロ距離ギャルメイク

無敵スター状態&おしゃべりクソ野郎になったマツモトは、その場のノリに身を任せ、ギャル考案のサービスであるフェイスメイクにもチャレンジしたのです。先にお伝えしておきますが、女装癖はありませんので何卒ご理解ください。

フェイスメイクと少々周りの目を気にしてかっこ良く言ってしまいましたが、正確には見出しの通り「ギャルメイク」です。こんなの生まれてはじめて、と心の準備をする時間も与えられないままメイクスタートです。

ただいま顔をいじられています

つーけまつーけま、つけまつけ〜る

つーけまつーけま、つけまつけ〜る

顔をメイクされている最中に気づいたのは、なんといっても距離の近さでした。ギャルメイクしてあげる!と堂々とパーソナルスペースに踏み込むその自然さ。アメリカの文化人類学者のエドワード・ホールが定めたパーソナルスペースの4つのゾーン、その一番距離の近いゾーンに区分けされる密接距離(ごく親しい人に許される空間)にギャルは堂々と入ってきたのです。マツモト不覚にも、少し吊り橋効果でドキドキしてしまいました。

場の雰囲気作りにはじまり、タメ口コミュニケーションによる心のゆとりをつくり、不快と感じる間も与えず密接距離に持ち込むギャルのコミュニケーション能力に圧倒されっぱなしなのです。

まとめ

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なるべくひげを隠し、上目遣いを意識する

リサーチと題して飛び込んだギャルカフェ体験でしたが、完全に場を満喫してしまうかたちで幕を閉じました。そこには体験した人にしか味わうことのできない、居心地の良い、フラットな人間関係を楽しめる環境が用意されていました。みなさんも、普段は全く絡むことのない文化に飛び込んでみてはいかがでしょうか。

そういえば、自らものごとを体験していくことの大切さを、19世紀イギリスの歴史家、トーマス・カーライルが素敵な言葉でこう残しています。

Experience is the best of schoolmaster, only the school-fees are heavy.

Thomas Carlyle( 1795 – 1881)

 

トーマスのおっしゃる通り。ギャルカフェにチャレンジしたい方は、財布に余裕があるときにどうぞ。

 

 

 

Ryohei Matsumoto Ryohei Matsumoto

関西学院大学卒。学生時代には途上国開発や国際問題を学びながら、アメリカのNGOの海外住居建設プログラムに参加し東南アジアを歴訪。卒業後は大手オフィス家具メーカーに就職し、オフィスワーカーの働く環境改善や提案に奮闘。クリエイティブが生まれる環境を自ら創造していきたいと、2014年ロフトワークに入社。>>プロフィール詳細